小泉文夫「日本の音 (平凡社ライブラリー)」読了。

戦後の音楽教育の失敗、かつて鴎外や漱石が文学において行なった試行錯誤を未だに模索しなければならない日本古典音楽の悲劇。江戸の三味線音楽・大衆音楽文化において、日本伝統音楽の歴史が様々に取り込まれ、総合的に花開くこととなった。「実は現代化が普通には困難だと考えられるような微妙なリズムや音色などをたくみに使った発声法、そうして旋律の細やかな装飾法といったところにこそ、日本人の今までの努力があったわけです。」無拍が生み出すリズム。前拍/後拍〜前小節/後小節〜前動機/後動機と重層的に織りなしていくリズム(「序破急」も然り)。