新譜聴いた。

何年に一度か、こういう爆発がある。そういうバンド。というかそういうヒト。
で、強烈なのが「翳りゆく部屋」。荒井由実のカバー。楽曲としての完成度・クオリティがずば抜けてて、ある意味ちょと哀しい。
で、「翳りゆく部屋」。歌詞のプロットとしては表面的に見ると恋人との別れというのがあって、けど宮本が言いたいこととしては「わたしが今死んでも」のとこだけと仮定してみると、「死」のモチーフ自体 古くは「羨ましきはカラスどもに我が肉えやと言いたる詩人」から最近の「死ぬのかい?オレは」等々あるわけだが、ここまでのメランコリーが表現されたことは、思いつくところで、ちょっと、ない。ような気がする。基本的には、認識としてはロマンティシズムのバンド(というかヒト)だと思ってたところに、この曲。思えば「風」とか『ライフ』中の何曲かもその路線と言えなくもないが、それもまた、ここへと至る伏線だったとか言ってみたりもできなくもないかも(放言)。嘗てのテーマとしての「死」は、ある種ロマンティシズムの行き着く先みたいなとこがあったわけで、近年のそれはどちらかというとよりリアリズムというか、まぁ、年齢のせいかな、とか思ったりもする。
で、全体的には、自由にやってるなぁ感がある。楽しんで音楽を作ってるっぽいというか。カバー曲入れちゃうのもそう言う意味で自由。けど弾け感・爆発の裏には漆黒の闇みたいな。結局のところ全編、通奏低音としてのメランコリーがあるとも言える。
「俺たちの明日」PVのディレクターズカットは、まあ、そうだよね、これもまぁありかな、ありなんじゃない?と。楽曲のイメージから予想できる範囲といえばそう。ただ、逃避させてくれないという意味で居心地の悪さは見てると結構ある。
ま、いい曲満載ですみなさんきいてください(書き疲れたのでこんなまとめ)。

STARTING OVER(初回盤)(DVD付)

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あ、と、思い出したのでちょとだけ。先日の「Music Lovers」で、「エレファントカシマシとは○○なバンドである」との問いに対して宮本「『いき』なバンド」と答えてたけど、これはやっぱり江戸文化への憧憬から来てるんだろうなぁとかぼんやりと夢想。これが関西圏とくに京都だと「いき」ではなく「粋(すい)」だったりするわけで。

「いき」の構造 他二篇 (岩波文庫)

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